友人たちが続々と結婚し始めた二十代半ば。中二病をこじらせた当時の私は、『人間は所詮孤独なもの。結婚に意味などない！』という信念のもと、一生独身でいようと頑なに心に決めていました。

とはいえ、人並みに恋愛はしたかったのでコンパには頻繁に参加していたのですが、そんな可愛げのない女に関わろうとする奇特な男性は滅多に現れず。その上、自分から魅かれる男性といえばこちらもまた中二病こじらせタイプか、あからさまに遊び慣れた男性ばかりで、楽しい恋愛に結びつく筈もありません。にもかかわらず、当時の私は『私の良さに気付きもせず見た目だけの女に魅かれるとは見る目のない男どもめ…』と一人ぼやいていたのだから呆れたものです。

そんな私でしたが、30歳を機に心境が一変することとなりました。今にして思うと、なんだかんだ、20代ですから！という余裕が私をとことん不遜にしていたのですね。よくよく考えれば私、穏やかで笑いの絶えない家庭がほしいとか思ってない？…そういえば、気の合う旦那様とじゃれ合ったり子供と遊んだりしたいわ私。…遅ればせながら、自分の本心にやっと気付いたのでした。

そこからはすべてが変わりました。目標を『穏やかでじゃれ合えるような旦那様と子供のいる家庭』と定めると、男性を見る視点も変化しました。それまでの、何を考えているか分からない、もしくは女性と真剣に交際をするつもりなどさらさらない男性から、笑顔が素敵で話の合うお父さんタイプに魅かれるようになったのですから不思議なものです。すると、コンパに参加しても連絡先を聞かれる回数が自分でも驚くほどに激増しました。

それから半年と経たないある夏です。いつものように参加したコンパで、向かいの席に座った瞬間、あ！と思う男性がいました。ごく自然に会話を交わし、私の予感は確信へと変わり…後で聞いたところによると、彼も同じ気持ちだったようです。そのままトントン拍子にお付き合いが始まり、翌年には結婚、出産することとなりました。あの時心に決めた理想の未来を手に入れた訳ですが、もしも狙いどころを間違ったままいたら、きっと今でも一人毒づいていただろうなあ…そう思うと背筋が凍る思いの私なのです。